今、一家の大黒柱(世帯主)の死亡保障で人気なのは「定期保険」より「収入保障保険(年金型)」。
実際、わたしがFPさんに勧められたのも収入保障保険だったし、お金関係のブログを見ても保険料が抑えられるから収入保障保険をおすすめしていることがすごく多い!
ただ、この収入保障保険は仕組み上「あるデメリット」があるんだけれど、その点についてあまり書いてあるのを見ないのでまとめました。
特に、子どもがいる人、子どもを持ちたいと考えている人は一度目を通しておくとお役に立てると思います。
はじめに、収入保障保険(年金型)とは?
収入保障保険(年金型)とは、例えば「35歳から60歳まで15万円/月のお金を保障する」という保険です。
そのため、収入保障保険は入ってすぐに死亡した場合と50歳で死亡した場合では受け取れる保険料が異なります。
例えば、上の図のように、35歳で「60歳まで15万円/月」で契約後すぐ死亡した場合
15万円/月×12か月×25年間=4,500万円
受け取れるのに対し、50歳で死亡した場合は、
15万円/月×12か月×10年間=1,800万円
だけ受け取れるようになっています。
保障が減るにもかかわらず、なぜ収入保障保険が人気があるかというと、次の3つの理由からです。
収入保障保険が人気な理由(1)保険料が安い
理由は、保険料が普通の生命保険(いわゆる定期保険)よりも安くなるからです。
加入年月が経つにつれてどんどん保障額が少なくなるので保険料はその分少なくなります。
収入保障保険が人気な理由(2)保障額が減るのは理に適っているから
保障額がどんどん少なくなるのに人気があるのか?というと、
- 夫がすぐに亡くなった場合には、残された子供も小さいため大きい保障額が必要
- 50歳でなくなった場合は子供も大きくなっているので保障が小さくても大丈夫
だからです。
収入保障保険が人気な理由(3)一度にもらうより定期的にもらった方が無駄遣いしにくいから
定期保険だと一度に何千万という大金が入ってきます。
無駄遣いせず計画的に使うのは、(特に節約が苦手の人にとっては)難しい💦
毎月定期的に一定額なら、それ以上使ってしまうこともないため受け取る側の心理的な負担もグッと低くなります。

ちなみに、収入保障保険でも一度に受け取る場合、年金型に比べて受取金額が減るよ
こう見ると、収入保障保険っていいなって思うのですが、実は保障額が減るというのは「子どもがいる場合」思っている以上のデメリットがあります。
収入保障保険の隠れたデメリットは「子どもの教育費が足りなくなりやすい」こと。
収入保障保険はすぐ亡くなるなら保障額は十分ですが、実は子供の教育費が足りなくなりやすいです。
なぜなら、
- 収入保障保険の「保障が減る」のは理にかなっているけど「保障額の減り方」は理にかなっていない
- (専業主婦で契約する場合)10年後、20年後の就職リスクを考えてない
からです。
では、この二つについて解説します。
収入保障保険の「保障が減る」のは理にかなっているけど「保障額の減り方」は理にかなっていない
収入保障保険の金額を算定するときに、現在の生活費、学費、年金などを様々な要因を入れてFPさんは算定します。
そして、一番大きい保障が必要になるのが「今すぐ死亡した場合」。
その時に必要な保障額(例えば4,500万円)をベースにして試算し、結果、月15万円(25年)の収入保障保険がいいと導き出します。
だけど、子どもがいる場合、この中に含まれてる「学費」の大部分は今すぐ使いません。
本来は同じ4,500万円の保障でも、子供が小さくて学費があまりかからない時は保障額の減り方が小さくないと、将来的に保障が足りなくなるのが目に見えてます。
しかし、現実は均等に毎月15万円減るので、将来の学費の保障も前倒しして減っているんです。
そのため、保険に加入してすぐ亡くなれば余るぐらいの保障でも、特に子供が中~大学生の頃に亡くなると、実は保障額が足りないということになるリスクを抱えています。
実際の例でみてみよう!収入保障保険でもらえるお金
実際のわたしの例で説明した方がわかりやすいと思うので、説明すると
わたしの必要保障額は4,500万円と算出してもらったのですが(子供が生まれる直前で契約)、そのうち教育費は合計1,638万円でした。
教育費の内訳は
- 私立幼稚園:157万円/3年
- 公立小学校:180万円/6年
- 公立中学校:135万円/3年
- 私立高校:307万円/3年
- 私立理系(自宅通学):859万円/4年
でした(この各数字については保険ショップの人が出してくれた数字です)。
一方、とある収入保障保険(保障金額4,500万円(月15万円×25年))に子ども0歳で入る場合、もらえる金額は
- 入ってすぐに死亡:4500万円
- 中学入学時:2340万(中学入学時点で12歳になるため25年契約だとほぼ半分になります)
- 高校入学時:1800万
- 大学入学時:1260万
- 最後の5年間:900万
でした。
そこで、実際の学費を除いた生活費を調べてみると……
入ってすぐに夫が死亡した場合
4,500万円-1,638万円(幼稚園から大学までの学費)=2,862万円。
毎月の生活費:2,862万円÷(25年×12ヶ月)=9,54万円/月

9万円じゃ足りませんが、実際はこれに遺族年金とパート代を足した金額になるので、実際はかなりゆとりが出そうです。
中学入学時に夫が死亡した場合
2,340万円-1,301万円(中学から大学までの学費)=1,039万円
毎月の生活費:1,039万円÷(13年(残りの年数)×12ヶ月)=6.66万円。
高校入学時に夫が亡くなった場合
1,800万円-1,166万円(高校から大学までの学費)=634万円
毎月の生活費:634万円÷(10年×12ヶ月)=5.28万円
大学入学時に夫が亡くなった場合
1260万円-859万円=401万円
毎月の生活費:401万円÷(7年×12ヶ月)=4.77万円
大学卒業後すぐに夫が亡くなった場合
900万円(学費がないのでまるまる生活費)
毎月の生活費:900万円÷(3年×12ヶ月)=25万円

実は最後の数年だけならかなりお得だね。
こんな感じで計算してみるとよくわかるんだけど、教育費がかかるときに夫が亡くなると実は保障が薄くなります
なお、生活費がどれぐらい残るか?は学費によって大きく変わるので、自分の保険について実際に計算してみたい方は、保険ショップでもらう「ライフプラン表」の学費を参考にして計算してみてくださいね。

例えば、オール公立&高校までなら学費もあまりかからないので、わたしの例とは違ってきます。
(専業主婦で契約する場合)10年後、20年後の就職リスクを考えてない
専業主婦の人は、保障金額を決める時に自分がパートで働くことを前提に金額を算定していると思うのですが、将来希望通りに働けるか?を冷静に考えましょう。
特に
- さらに子供を産みたい人
- (わたしもそうですが)高齢出産の人
は注意です。
なぜなら、兄弟が生まれると、働く気があっても下の子の年齢次第では働くのが難しくなります。
また、早く出産した人は10年20年後でも30代、40代ですが、高齢出産だと50代前後。
採用のされやすさが違うし、体力の違いも出てきます。
さらに、高齢出産の場合、今は両親のサポートが得られても、10年後、20年後は両親も年老いてきてるのでサポートしてもらえる確率は低くなります。
働けばいいと「今は」思っても、十分に働ける状態かどうかがわかりません。

なので、共働きの人や出産が早い人は、このリスクについてはそこまで高くないね。
収入保障保険のリスクを減らすために必要なこと。
契約時には中学入学、高校入学、大学入学の時点でいくらもらえるかを必ず計算する
収入保障保険を契約する場合、子供が中学生、高校生、大学生の節目の時に実際にいくら受け取れるのか、その保障で本当に充分なのか?を必ず考えましょう。
最初のスタートの段階はFPさんが確認してくれるけど、中学生、高校生、大学生の節目の時については、わたしの体験上、FPさんはそこまで確認してくれません。

わたしは自分で計算したけれど、その場でFPさんに頼んでもいいかも?
そして、大学、高校、中学の費用を引いた金額を(残りの年数×12ヶ月)で割って、実際の生活費として使える金額を確認します。
その金額で足りれば安心して契約できるし、足りなければ、さらに準備する必要があるとわかるようになります。
貯蓄を頑張る
収入保障保険のリスクを減らすために誰でもできる方法は、貯金を頑張ること。
というのも、子供が10歳の時に夫が亡くなった場合、すぐに亡くなる場合よりもその分貯金ができる、ということ。
それなら保障が少なくなってもフォローできます。
計画的に貯蓄ができていれば、収入保障保険で減りすぎた分のお金を補うことができます。
保障が足りない場合は、教育費のかかる時代だけ保障額の上積みも考える
支払い金額が増えるけれど、一定期間(子供が高校・大学時代など)だけ、保障額を上積みできる収入保障保険もあります。
そういった収入保障保険を利用したり、別の保険を組み合わせるなどを考えましょう。
【まとめ】収入保障保険を申し込む時は、デメリットにも目を向けて選ぼう
保険料が安くなる!保障が減っても、必要額は減るから大丈夫!ってよく言われる収入保障保険。
実は教育費の保障額が足りなくなりやすいというデメリットがあります。
パンフレットには、常に15万円もらえるから大丈夫~みたいに書いてるけど、必要な金額は子供が小さい「今」と大学受験を控えた「高校生」では全然違います。
このあたりの条件もきちんと理解して契約しないと、いざ夫が死亡したっていう時に困ることになってしまうので気を付けてくださいね。
【おまけ】我が家が選んだ保険
わたしが高齢出産&専業主婦なため、年を取ってからのリスクが怖いと思って我が家は定期保険にしました。
ただ、収入保障保険よりも保険料が高くなるのが欠点。
結局、死亡保障3,000万円で契約しました。
夫がすぐ亡くなった場合、必要保障額(4,500万円)から考えると全然足りませんが、
- 若い方が死ぬ確率が低い
- 貯蓄がある
- 今なら両親も動けるので両親のサポート付きで働ける
という条件があったのでイチかバチか、夫はすぐに死なない方にかけて3,000万円にしました。
ちなみに、我が家は定期保険にしましたが定期保険と収入保障保険、どちらの方がいいのか?については、それぞれの家庭の事情
例えば
- 貯蓄状況
- 復職のしやすさ
- 子供の人数
- 子供の進路
- 心配性かどうかの性格
- 契約金額
- 持ち家(団信に加入)かどうか
によっても大きく変わってきます。
さらに、定期保険も収入保障保険も、結局「いざという時」の保険。
いざが起きなければ掛け捨てになり、もったいないのも事実。
「いざ」はめったに起きないことを考えると、収入保障保険+保険料が浮いた分の貯蓄を頑張った方がずっとお得という一面もあります。
そのため、わたしは定期保険にしたけれど、人によってベストな保険は変わってきます。
ただ、収入保障保険の「教育費が足りなくなりやすい」デメリットはあまり知られてないことと、知らずに契約するとあとで困るので今回紹介しました。
ではでは、保険選びや見直しの参考になったら幸いです。

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